近年お葬式の形が多様化しており、形式にこだわらない方が増えています。大規模な葬儀が主流だった以前に比べ、火葬のみが行われる直葬を選ぶ方も多いといえます。

一方で直葬ではトラブルが起こる可能性もあるため、情報を事前に調べておくことで後々後悔してしまうことを防げるでしょう。

今回は、直葬を検討するうえで知っておくと便利なことをご紹介します。

直葬とは

直葬とは、亡くなったご遺体を安置した後通夜式や告別式を実施せず、火葬のみで故人を送る葬儀の形式です。

ご遺体は死後24時間以上経ってから火葬をする決まりがあるため、儀式を実施しない場合にも遺体を安置しておく必要があります。

直葬では、火葬直前に僧侶によるお経の読み上げがあり、そのあとはすぐに火葬することが流れです。近年は新型コロナウイルスが流行したことで人数制限を設ける葬儀場もあり、小規模の葬儀に注目が集まっています。

一般葬と直葬との違い

近年注目されている直葬は、一般葬と何が異なるのでしょうか。それぞれの特徴は以下のとおりです。

<一般葬>

  • 葬儀が2日間(通夜式・告別式)
  • 故人の家族以外で親交のあった人が参列できる
  • 故人や遺族に合わせた個性豊かな葬儀が行える

<直葬>

  • 葬儀が短時間で終わる
  • 費用負担が少なくて済む
  • 親族のみで執り行うため小規模である

大きな特徴としては、「時間」と「費用」、「規模」が一般葬に比べて小さい点が挙げられます。

直葬のニーズについて

葬儀社でも直葬専用のプランが増えており、直葬のニーズは近年高まっています。特に近年では新型コロナウイルスが流行したため、人数制限を設けなければならない状況があり、直葬は一層注目されました。他にも、核家族化や身寄りがない故人の増加、地域住民との交流が変化していることなどが背景として挙げられます。

直葬のメリット

これまで、直葬の特徴を紹介しました。続いて、実際に直葬を行う際のメリットとデメリットを理解しておきましょう。メリットを知っておくことで、直葬の特徴を最大限に活かした葬儀が可能です。ここでは大きく3つに分けてメリットを解説します。

費用面

直葬では通夜式・告別式をせず火葬のみを行うため、費用負担が一般葬に比べ少ないことが特徴です。通夜式・告別式の費用だけでなく、写真や参列者への香典返し、通夜振る舞いの食事など、葬儀には多額の費用を必要とします。直葬では、火葬場の費用と参列者への返礼品は必要だとはいえ、一般葬より経済的な負担を大幅に減らせます。

時間の融通が利く

通常の葬儀は儀式の時間を取らなければならないため、火葬場の予約時間に偏りが出てしまいます。どの葬儀も、タイムスケジュールの都合で時間が近くなる傾向にあるため、火葬場を予約する時間帯に制限が出てしまいます。直葬は通夜式・告別式という儀式がない分、時間の縛りがありません。時間の融通が利くため予約しやすく、亡くなってから火葬までの期間を短くできます。一般葬によくある、儀式が終了してから火葬までの長い待ち時間を省略できるため、効率がよいといえるでしょう。

遺族の心身の負担を軽減

直葬は儀式を実施せず親族のみの少人数で行うため、参列者への接待をする必要がありません。

遺族はただでさえ家族を亡くし、心身ともに疲れきっている状態です。その状態でおもてなしをすることは、遺族に大きな負担を与えてしまいます。なるべく人に会いたくないという遺族もいるでしょう。

直葬は身内のみの儀式で、必要最低限の会話を行うだけで済むため遺族の心身への負担を軽減できることが期待できます。

直葬のデメリット

前述では直葬のメリットについてまずお伝えしました。次にデメリットも合わせてご紹介します。直葬が持つデメリットについて知ることで、問題が起きたときを想定して事前に対応策を講じて対処し、トラブルを回避することが可能です。

納骨ができない可能性がある

我が国においては、お寺と檀家で関係のある檀家制度が未だに根強く残っています。

お寺の収入は、お付き合いのある菩提寺から我々が読経や戒名を授かり、お布施をお返しすることで賄われています。

また、一般的にはご遺体の葬儀は菩提寺の元で執り行われ、ご遺骨は葬儀を取り仕切った宗派のお墓に入る仕組みです。

直葬では葬儀の過程を省くため、お寺から納骨を断られる可能性があります。

このため、菩提寺には事前に直葬希望であることを相談する必要があります。宗教不問の霊園である場合には、この問題は起きませんが、先祖代々の墓がお寺にある場合には注意が必要です。

故人とのお別れの時間

直葬は火葬のみを実施するため、火葬に立ち会えない人は最後のお別れができません。最後のお別れがしたかったのにできなかったという関係者の方も出てくる可能性があります。生前多くの人と交流のあった故人が直葬を望むのであれば、火葬当日立ち会えない人向けに自宅への弔問を受け付ける方法があります。事前対処をしっかりして、お別れができなかったと傷ついてしまう人を出さないようにすることが重要です。

親族・関係者からの反発

直葬は、かつては身寄りのない人や経済的事情で葬儀ができない人へ向けた葬儀形態でしたが、近年では新しい葬儀の形として選択する人が増加しています。

一方で、宗教上の理由で通常の葬儀を行うことにこだわる人も少なくありません。

親族次第では宗教的な儀式をしない直葬に抵抗がある人がいる可能性もあるため、親族や関係者から反発の声があがることも考えられます。

故人が直葬を希望していたのであれば、生前から明確に意思表示をしておき、周りにきちんと説明をしておくことが必要です。

直葬を選んで感じた後悔

ここまで、直葬の特徴からメリット・デメリットまでをお伝えしました。

直葬の魅力を感じた人は、生前のうちに直葬を希望する人もいるでしょう。実際に直葬を行った遺族の声を聞いてみました。

周囲の親族から苦情がでた

前述しましたが、かつて直葬は、身寄りのない人や経済的に苦しい人向けに行われていた葬儀でした。そのため高齢者の方には、直葬に後ろ向きな考えを持っている方も多くいます。

高齢者である親族のうち、直葬に対し反発する方が出てくる可能性もあるため、直葬の特徴や選ぶ理由について、事前に説明することが重要です。

生前に本人の意思を聞けていなかった

生前に本人から直葬の希望があった場合は、その遺志に従い直葬を行うことで遺族も満足感が得られるでしょう。しかし、本人の意思を確認できなかった場合、残された家族だけで直葬をして「これでよかったのか」と不安感を残してしまうことがあるかもしれません。

その不安があるときに、直葬に対しての批判を耳にしてしまうと、後悔ばかりが残ってしまう恐れもあります。

後悔しないために、なるべく生前に本人の気持ちを確かめておくことが重要です。

近年はエンディングノートを書く方も増えており、エンディングノートは遺族の不安や後悔を防ぐためにも重要なツールです。

直葬に対するイメージと実際の式との差

直葬を希望して執り行ったが、イメージしていたものと違った、想像と違う式になってしまったという声も聞かれます。

このような後悔を避けるためにも、情報収集を事前にしっかりして、葬儀社にも相談をして納得しておくことが重要です。

直葬を自分で希望する場合も、遺言状やエンディングノートを作成し、家族間で共有しておくことが大切です。

本当はしっかり送りたかったが、お金の事情で直葬を選んだ

本当は本人・家族ともに儀式をしっかり行って、お世話になったさまざまな方に見送ってもらいたかったが、金銭的事情でそれが叶わなかったという家庭もあるでしょう。

現在は「終活」を早めに始める方も増えており、葬儀費用を事前に確保しておくケースも多いと聞きます。

金銭的事情で直葬を選ばざるを得なかったという後悔を防ぐためにも、どの程度の葬儀費用でどのようなことができるのかを、葬儀社にあらかじめ相談しておくことをおすすめします。

まとめ

この記事では、直葬の特徴から実際に直葬を執り行った家族の声をご紹介しました。

葬儀はやり直しがきかず、故人も戻ってくることはありません。

全て終わった後に後悔をしてしまう前に、本人や家族にとってどのような見送り方をしたほうがよいのかを事前に話し合っておくと、後々のトラブルに備えられるのではないでしょうか。

ライフサポートでは、葬儀に関するご相談も受け付けています。

直葬や、一般葬の葬儀費用についてなど、葬儀に関して悩み事があれば、ライフサポートまでご相談ください。