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【完全解説】五七日(いつなのか)の意味とは?閻魔大王の審判と遺族がすべき追善供養のすべて

家族や大切な人を亡くしたあと、仏教では四十九日(しじゅうくにち)に向けて定期的に法要が訪れます。その中の一つである「五七日(いつなのか/ごしちにち)」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような意味があり、遺族として何をすべきなのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

「五七日って、他の一七日や三七日と何が違うの?」 「現代でも五七日の法要は行うべき?」 「五七日に香典返しを贈るケースがあるって本当?」

本記事では、仏教の死生観や「十王信仰(じゅうおうしんこう)」という深い背景から五七日を紐解き、現代における法要の進め方、お布施の相場、服装のマナー、さらには香典返しとの関係まで、どこよりも深く、かつ分かりやすく解説します。

1. 五七日(いつなのか)とは?基礎知識と数え方

まずは、五七日の基本的な定義と、間違いやすい日程の数え方について確認しておきましょう。

五七日の読み方と意味

五七日は、一般的に「いつなのか」と読みます。宗派や地域によっては「ごしちにち」と呼ぶこともあります。

仏教では、故人が亡くなった日(命日)を含めて7日ごとに法要(忌日法要)があり、五七日はその5回目の法要にあたります。計算としては「5回×7日=35日目」となり、「三十五日(さんじゅうごにち)」と呼ばれることも多いです。

命日からの正しい数え方

仏教の伝統的な数え方では、「亡くなった日(命日)を1日目」としてカウントします。

【例:5月1日に亡くなった場合】

  • 1日目(初七日):5月7日

  • 8日目(二七日):5月14日

  • 15日目(三七日):5月21日

  • 22日目(四七日):5月28日

  • 29日目(五七日):6月4日

  • 43日目(六七日):6月18日

  • 49日目(七七日・四十九日):6月24日

上記の通り、実際の日暦で計算すると「亡くなった日から4週間後の同じ曜日(29日目)」が五七日となります。「35日目」という言葉の響きから、1ヶ月以上先だと勘違いしてしまいがちですが、実際には約1ヶ月後(29日目)に迎えることになるため、準備のスケジュールには注意が必要です。

なぜ7日ごとに法要があるのか?

仏教(特に日本で広く信仰されている大乗仏教)の教えでは、亡くなった人はすぐに次の世界に生まれ変わるわけではありません。

故人の魂は、あの世(冥土・めいど)へと旅立ち、49日間にわたって7日ごとに合計7回、生前の罪業を裁く裁判を受けるとされています。この49日間の期間を「中陰(ちゅういん)」または「忌中(きちゅう)」と呼び、遺族がこの世から祈りを捧げる(追善供養を行う)ことで、故人がより良い世界(極楽浄土)へ生まれ変われるよう応援する仕組みになっています。

2. 【深掘り】五七日に何が起きる?「閻魔大王」の審判と十王信仰

五七日は、7回ある裁判の中でも「最も重要な関門の一つ」とされています。なぜなら、この日の裁判官を務めるのが、あの有名な「閻魔大王(えんまだおう)」だからです。

ここでは、五七日の持つ深い意味を仏教説話(十王信仰)から掘り下げていきましょう。

冥界の裁判官「十王」と五七日の流れ

仏教の死後の世界には、故人を裁く10人の裁判官がおり、これを「十王(じゅうおう)」と呼びます。初七日から七七日(四十九日)までの7人に加え、百箇日、一周忌、三回忌の計10回、裁判が行われます。

それぞれの忌日と、どのような裁判が行われているのかを順を追って解説します。

  • 初七日(7日目):秦広王(しんこうおう)の裁判 生前の「殺生(せっしょう)」について調べられます。むやみに生き物の命を奪わなかったかが問われます。

  • 二七日(14日目):初江王(しょこうおう)の裁判 生前の「盗み」について調べられます。他人のものを奪ったり、騙し取ったりしていないかを審議され、この後に三途の川を渡ることになります。

  • 三七日(21日目):宋帝王(そうていおう)の裁判 生前の「不適切な性関係(不邪淫)」について調べられます。邪な愛欲に溺れていなかったかどうかが厳しく追及されます。

  • 四七日(28日目):五官王(ごかんおう)の裁判 生前の「言葉の罪(妄語)」について調べられます。嘘をついたり、悪口を言ったりして他人を傷つけていないかを量られます。

  • 五七日(29日目):閻魔王(えんまおう)の裁判 これまでの4つの裁判結果を踏まえ、生前のすべての行いを総合的に判断する、最大の山場です。

  • 六七日(43日目):変成王(へんじょうおう)の裁判 五七日での閻魔大王の判決をもとに、次に生まれ変わる場所の具体的な条件や環境が決定されます。

  • 七七日(49日目):泰山王(たいざんおう)の裁判 最終判決が下る日です。六道(地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天上)のどこに生まれ変わるかが完全に決定し、故人は旅立ちます。

閻魔大王の前に置かれる「浄瑠璃の鏡」

五七日の裁判で、閻魔大王は故人に対して「お前は生前、どのような行いをしてきたか」を問い詰めます。ここで嘘をついても絶対にバレてしまいます。なぜなら、閻魔大王の横には「浄瑠璃の鏡(じょうるりのかがみ)」という巨大な鏡が設置されているからです。

この鏡には、故人が生前に行ってきた善い行いも、悪い行いも、すべて映像としてリアルに映し出されます。また、「倶生神(くしょうじん)」という、人間が生まれた時から肩に乗って一挙手一投足(心の中の悪巧みまで)を記録していた神様が提出する「閻魔帳(えんまちょう)」という報告書も存在します。

言い逃れの不可能な証拠を突きつけられ、故人の罪の重さが決定されるのが、この五七日なのです。

「檀特山」での重労働と、遺族の「追善供養」の重要性

五七日の法要がなぜこれほど重視されるかというと、故人がこの審判の時期に「檀特山(だんとくせん)」という非常に険しい山を越えなければならないという伝承があるためです。

故人は孤独と不安の中で、自らの罪と向き合いながら過酷な旅を続けています。 この時、現世に残された遺族が「どうかあの人がお許しをいただけますように」「どうか良い世界へ行けますように」と仏様に祈り、お経をあげる(またはお坊さんにあげてもらう)ことで、その善行のボーナスポイントが故人に送られます。これを「追善(ついぜん)」といいます。

遺族の祈りは、裁判中の故人にとって最高の弁護となり、閻魔大王の判決を寛大なものへと変える力があると信じられているのです。

3. 五七日法要は行うべき?現代の動向と宗派による違い

伝統的には重要な五七日ですが、現代の日本ではどのように扱われているのでしょうか。実務的な視点と、宗派による教えの違いを解説します。

現代では「省略」されることが多い

結論から言うと、現代の一般的な葬儀・法要の流れにおいて、五七日(三十五日)の法要を親族一同集まって大々的に行うケースは減少しています。

現代では、忙しい親族のスケジュールや経済的負担を考慮し、以下のように法要を簡略化・集約するのが主流です。

  1. 初七日法要:火葬当日(葬儀の直後)に繰り上げて行う

  2. 二七日〜六七日:遺族が自宅の仏壇前で線香をあげ、手を合わせるのみ(僧侶は呼ばない)

  3. 四十九日法要:親族や故人と縁の深かった人を招き、僧侶を呼んで盛大に行う(忌明け)

そのため、五七日だからといって必ずしも「お寺さんを呼んで、親戚を家に集めて……」と大がかりに準備する必要はありません。ただし、家族だけでいつもより丁寧にお供え物をし、静かに故人を偲ぶ時間は持ちたいものです。

浄土真宗における「五七日」の捉え方

日本の仏教の中で最大の信者数を持つ「浄土真宗(本願寺派・大谷派など)」では、これまで説明した「死後の裁判」という概念自体がありません。

浄土真宗の教えでは、「阿弥陀如来(あみだにょらい)の誓いによって、人は亡くなるとすぐに極楽浄土へ往生し、仏になる(往生即身成仏・おうじょうそくしんじょうぶつ)」と考えられているためです。

したがって、浄土真宗において五七日(や四十九日)は、故人を応援するための裁判対策ではなく、「故人のおかげで仏法(仏さまの教え)に触れる尊い縁をいただいたことに感謝する日」として位置づけられます。閻魔大王の鏡を恐れる必要はありませんが、故人を偲び仏恩に感謝する法要としての意味合いは変わりません。

4. 五七日法要を行う場合の「完全準備マニュアル」

地域的な習わしや、遺言、家族の意向などで「五七日(三十五日)法要をきちんと執り行う」ことになった場合のために、具体的な準備手順とマナーをまとめました。

① 日程の決め方(前倒しの原則)

五七日の当日に法要を行うのが理想ですが、平日で行うのが難しい場合は「直前の土曜日または日曜日」に日程をずらすのが一般的です。

仏事全般における重要なルールとして、「法要の日程は後ろに延ばしてはならない(必ず前倒しにする)」というものがあります。理由は、審判の日を過ぎてから応援の祈りを捧げても意味がない(遅れてはかわいそう)という考え方に基づいています。

② 場所の選定

法要を行う場所は、主に以下の3つから選びます。

  • 自宅:後飾り祭壇(または仏壇)の前で行う。移動がなく落ち着いてできる。

  • 菩提寺(お寺):本堂を借りて行う。本尊の前で厳かに行える。

  • セレモニーホール・斎場:葬儀を行った場所に依頼する。バリアフリーや会食の手配がスムーズ。

③ 服装のマナー

参列する人数や規模によって異なります。

  • 親族を招いて正式に行う場合: 遺族は「準喪服(男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマル)」を着用します。参列者もそれに準じます。

  • 家族のみ(身内だけ)で行う場合: 「略式喪服(平服)」でも構いません。ただし、平服といってもジーンズやTシャツはNGです。男性は地味な色のスーツ(ダークネイビーやグレー)、女性は落ち着いた色のワンピースやアンサンブルを着用し、露出や派手な装飾品は避けます。

④ お布施の相場と書き方

五七日法要で僧侶にお経をあげてもらう場合、お布施(お礼)を用意します。

お布施の金額相場

五七日単体で法要を行う場合のお布施の相場は、「1万円〜3万円」程度が一般的です。四十九日法要の相場が3万円〜5万円であるため、それよりはやや控えめになることが多いです。 ※これに加え、お寺以外に来てもらう場合は「御車代(5,000円〜1万円)」、法要後の会食に僧侶が参加しない場合は「御膳料(5,000円〜1万円)」を別で包みます。

表書きの書き方

  • 封筒:白無地の封筒(または双銀・黒白の水引がついた不祝儀袋)

  • 表書き:上部に「御布施」、下部に「〇〇家」または施主のフルネームを黒墨(または薄墨)で記入します。 ※忌明け前の法要ですが、お布施は僧侶への感謝の印(お礼)であるため、通常の黒墨で書いてもマナー違反ではありません。

5. 香典返しを「五七日(35日忌)」に送るケースと注意点

一般的に、香典返し(忌明けの返礼品)は「四十九日(七七日)」を迎えたあとに発送するものですが、実は地域や習慣によっては「五七日(三十五日)」を忌明けとして香典返しを送るケースがあります。

なぜそのような違いが生まれるのでしょうか。

なぜ五七日で「忌明け」とする地域があるのか?

主に関西地方の一部や、特定の地域・宗派において、五七日(三十五日)を「忌明け(きあけ・いみあけ)」とする風習が残っています。

これには諸説ありますが、以下のような理由が挙げられます。

1. 閻魔大王の審判で実質的な行き先が決まるから

前述の通り、五七日は閻魔大王によって生前のすべての罪が精査される最大の山場です。ここで実質的な行き先(六道のどこか)が決まるため、「実質的な判決は35日目で下っている」と解釈し、ここで忌を明けるとする考え方です。

2. 「四十九日(始終苦)」の語呂合わせを避けるため

四十九日は「49=しじゅうく=始終苦(終始、苦しむ)」という語呂合わせを連想させるため、縁起を担いで一世代前の重要な審判日である三十五日(五七日)を忌明けに繰り上げるという慣習です。

特に、「三月跨ぎ(みつきまたぎ:命日から四十九日を迎えるまでの期間が、3ヶ月にまたがること)」になる場合、「病が身(三)に付(月)く」として嫌われ、五七日に繰り上げるケースが全国的に見られます。

五七日に香典返しを贈る場合の段取り

五七日で忌明けとする場合、そのタイミングに合わせて香典返し(引き出物)と挨拶状を発送します。

発送のタイミング

五七日の当日、あるいはその数日前後に相手の手元に届くよう手配します。葬儀後、速やかに品物を選定しておく必要があります。

挨拶状(お礼状)の注意点

挨拶状の文面には、「五七日(三十五日)をもって忌明けいたしました」という旨を明記します。また、仏事の慣習として、挨拶状には句読点(「、」「。」)を使わないのが伝統的なマナーです。

【コピペOK】五七日忌明けの香典返し・挨拶状の文例

謹啓
御尊家一同様には益々御清祥のこととお慶び申し上げます
さて 先般 故 〇〇 〇〇(故人の名前や柄、例:父 太郎) 儀 死去の際は
御多忙中にもかかわらず御懇篤なる御弔慰と過分なる御香資を賜り
誠にありがたく厚く御礼申し上げます

おかげをもちまして本日 五七日(三十五日)の法要を営み 忌明け(満中陰)を相営みました
生前に賜りました御厚情に対し 改めて心より感謝申し上げます

つきましては 供養のしるしまでに心ばかりの品を御届け申し上げましたので
何卒御受納くださいますようお願い申し上げます

本来であれば拝眉の上御礼申し上げるべきところでございますが
書中をもちまして謹んで御挨拶申し上げます
謹白

令和〇年〇月〇日
喪主 〇〇 〇〇(喪主の名前)

6. 五七日を心穏やかに迎えるために遺族ができること

お寺を呼んだ法要を行わない場合でも、五七日は故人にとっての「閻魔大王の審判」という大切な日です。自宅で遺族ができる丁寧な供養の方法をご紹介します。

自宅での供養方法

五七日の当日は、いつもより少し時間を取って仏壇(または後飾り祭壇)の前でお参りをしましょう。

  • お線香とお香:お線香を絶やさないように(火の元には十分注意してください)。可能であれば、少し上質なお香を焚いて、お部屋の空気を清めるのもおすすめです。

  • お花(仏花)の交換:お花が傷んでいたら、新しく瑞々しいものに買い替えます。故人が好きだった色のお花を混ぜるのも良いでしょう。

  • お供え物:炊きたてのご飯(御仏飯)、お水、そして故人の好物だったお菓子や果物をお供えします。

一番の供養は「故人を思い出すこと」

仏教において、最高の追善供養は「遺族が笑顔で故人の思い出話をすること」だとも言われています。

「今日はあの人が閻魔大王様の前に立っている日だね」 「浄瑠璃の鏡には、きっとあの楽しかった旅行の映像が映っているよ」

そんな風に家族で故人を偲び、温かい気持ちで祈りを捧げることが、冥土の険しい山を歩く故人にとって何よりの足元を照らす光(灯明)となります。

7. まとめ:五七日の意味を知り、心のこもった供養を

この記事では、仏教において重要な節目である「五七日(いつなのか/三十五日)」について詳しく解説しました。

重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 五七日とは:命日を含めて29日目(約1ヶ月後)に迎える5回目の忌日。

  • 宗教的意味:冥界の王である「閻魔大王」が、浄瑠璃の鏡を使って生前の罪を裁く最も重要な審判の日。

  • 現代の対応:親族を集めた法要は省略されることが多いが、自宅で丁寧にお参りをするのが望ましい。

  • 香典返しとの関係:地域や習慣、あるいは「三月跨ぎ」を避ける目的で、五七日を忌明けとして香典返しを送るケースもある。

大切な人を亡くしたあとの1ヶ月間は、遺族にとっても手続きや片付け、精神的な疲労で怒涛のように過ぎ去っていく時期です。 五七日という節目に、一度立ち止まって故人の死後の旅路に想いを馳せ、心を込めて手を合わせてみてはいかがでしょうか。その祈りは必ず、あの世の故人へと届き、新たな世界への歩みを支える力になるはずです。

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