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2025年12月11日
【完全版】末期の水(死に水)とは?手順、マナー、宗派別の注意点

「末期の水」という言葉をご存知でしょうか? これは、大切な人が亡くなった際に、故人の口元を潤す、日本の伝統的な儀式です。 しかし、その意味や正しいやり方、宗教による違いについては、意外と知らないことが多いのではないでしょうか?
この記事では、末期の水(死に水)の基本的な知識から、宗派ごとの違い、具体的な手順、注意点まで、分かりやすく解説します。 この記事を読めば、いざという時に慌てず、故人を安らかに見送ることができるでしょう。
末期の水(死に水)とは?その意味と目的
末期の水(死に水)の定義と概要
「末期の水(まつごのみず)」とは、故人が息を引き取った直後、または危篤状態にある際に、親族が故人の唇を水で潤す日本の伝統的な儀式です。別名「死に水(しにみず)」とも呼ばれ、古くから行われてきました。これは、亡くなった方への最後の奉仕であり、安らかに旅立ってほしいという遺族の願いが込められた大切な行為です。一般的には、脱脂綿やガーゼを巻いた箸、または筆に水を含ませて行われます。
末期の水を行う目的と意義
末期の水を行う目的と意義は多岐にわたります。最も直接的な意味合いとしては、故人の喉の渇きを癒し、安らかにあの世へ旅立てるようにという願いが込められています。古くから、人は死に際に喉が渇くと考えられてきたため、この儀式は故人への最後の思いやりとして行われてきました。
また、遺族にとっては、故人との別れを受け入れ、心の整理をつけるための大切な儀式でもあります。故人の顔に触れ、最後の奉仕をすることで、遺族は故人の死を実感し、悲しみを乗り越える一歩を踏み出すきっかけとなります。単なる形式的な行為ではなく、故人への感謝と愛情を伝える、深い意味を持つ儀式なのです。
末期の水を行うタイミング
末期の水は、故人様を安らかに見送るための大切な儀式ですが、いつ行うべきか迷われる方も少なくありません。この儀式は、一般的に医師から「危篤」が告げられた後、または「臨終」の直前に行われます。
具体的には、医師によって心肺停止が確認され、正式に死亡が宣告される前に行うのが通例です。これは、まだ息があるうちに口元を潤し、苦しみを和らげるという意味合いが込められているためです。
しかし、状況によっては、ご家族が故人様の変化に気づき、医師の宣告を待たずに、ご自身の判断で末期の水を行うケースもあります。大切なのは、ご家族が故人様への最後の供養として、心を込めて執り行うことです。
病院によっては、医療行為の妨げになるという理由から、末期の水を行うことを推奨しない場合もあります。そのような場合は、病院の指示に従い、無理に行う必要はありません。故人様を大切に思う気持ちがあれば、形にとらわれずとも、心の中での供養は可能です。
いずれにしても、末期の水を行うかどうかは、ご家族の意思と故人様の状態、そして医療機関の意向を考慮して判断することが重要です。
末期の水の準備に必要なもの
末期の水を行う際には、いくつかの道具を準備する必要があります。これらは特別なものではなく、ご家庭にあるものや、コンビニエンスストアなどで手軽に購入できるものがほとんどです。ここでは、具体的にどのようなものが必要で、どのように準備すれば良いのかを解説します。
- 脱脂綿またはガーゼ 故人の口元を潤す際に使用します。清潔な脱脂綿や医療用のガーゼを用意しましょう。衛生面を考慮し、新しいものを使用してください。
- 割り箸、筆、または菊の葉 脱脂綿やガーゼを故人の口元に運ぶために使います。一般的には割り箸がよく用いられますが、筆や、菊の葉(仏事用の生花として供えられる菊の葉は、清らかで縁起が良いとされます)の先端を使うこともあります。故人への敬意を込めて、清潔なものを選びましょう。
- コップに入れた水 故人の口元を潤すための水です。水道水でも問題ありませんが、可能であれば、故人が生前好んでいた水や、清らかなミネラルウォーターなどを用意するのも良いでしょう。コップは、故人が生前使っていたものや、新しく清潔なものを用意します。
- 受け皿またはタオル 故人の口元から水がこぼれることを防ぐために、あごの下に敷く受け皿や清潔なタオルを用意しておくと安心です。
これらの道具は、故人を清らかな気持ちで見送るための大切な準備です。慌てずに、一つひとつ丁寧に用意しましょう。
末期の水の正しい手順と作法
末期の水は、故人への最後の愛情と敬意を示す大切な儀式です。ここでは、具体的な手順と、誰がどのような順番で行うべきかについて詳しく解説します。
具体的な手順と作法
末期の水は、故人の尊厳を守りながら、静かに、そして丁寧に行うことが大切です。以下の手順を参考に、故人への最後の奉仕を行ってください。
- 道具の準備: 茶碗に用意した水と、新しい割り箸、そして脱脂綿またはガーゼを用意します。脱脂綿は清潔なものを使用し、割り箸に巻きつけやすい大きさにちぎっておくと良いでしょう。
- 水の含ませ方: 割り箸の先に脱脂綿を巻きつけ、それを茶碗の水に浸します。この際、脱脂綿が水を吸いすぎないよう、軽く絞るか、余分な水滴を落としてください。水がしたたり落ちると、故人の顔や寝具を濡らしてしまう可能性があります。
- 口元への運び方: 故人の枕元に静かに座り、脱脂綿を巻きつけた割り箸を故人の口元へ運びます。故人の顔に水をこぼさないよう、ゆっくりと慎重に動かしましょう。
- 唇を潤す: 故人の唇をそっと開け、脱脂綿の先端で、上唇から下唇、そして歯茎の順に軽く湿らせていきます。無理に口を開かせたり、大量の水を流し込んだりしないように注意してください。あくまで「潤す」ことが目的です。
- 故人への声かけ: 儀式の間、「安らかに」「ありがとう」など、故人への感謝や別れの言葉を心の中で唱えるか、小さな声で語りかけると良いでしょう。故人との最後の対話の時間として大切にしてください。
誰が末期の水を行う?順番について
末期の水は、故人と縁の深い人が行うのが一般的です。故人との関係性によって、以下のような優先順位で行われることが多いですが、地域や家庭の慣習、故人の生前の希望によって異なる場合もあります。
- 配偶者: 故人の最も身近な存在である配偶者が最初に行います。
- 子: 配偶者の次に、故人の子どもたちが年齢順に行います。
- 孫: 子どもたちの次に、孫たちが年齢順に行います。
- 親: 故人の親が健在であれば、その次に行います。
- 兄弟姉妹: 最後に、故人の兄弟姉妹が行うのが一般的です。
この順番はあくまで目安であり、故人の生前の意思や、その場の状況に応じて柔軟に対応することが重要です。もし故人が特定の人物に頼んでいた場合は、その希望を優先しましょう。参列者全員が故人へのお別れの気持ちを込めて行えるよう、代表者が数回繰り返して水を含ませることもあります。
宗教・宗派による末期の水の違い
末期の水は、日本の伝統的な風習として広く知られていますが、その解釈や実施の有無は宗教・宗派によって大きく異なります。故人の信仰に沿った適切な対応をするためにも、それぞれの考え方を理解しておくことが重要です。
仏教における末期の水
仏教では、末期の水は故人が喉の渇きを潤し、安らかに旅立てるようにという願いを込めて行われる慣習です。多くの宗派で特に禁じられているわけではなく、一般的に行われています。
しかし、浄土真宗においては、末期の水は行わないとされています。これは、浄土真宗の教えにおいて、「人は阿弥陀如来の本願によって、亡くなるとすぐに浄土へ往生できる」と考えるためです。この教えでは、故人が現世に留まるという概念がなく、喉の渇きを潤すといった現世的な行為は不要であるとされます。そのため、浄土真宗では末期の水を行うことはなく、故人を送る際の儀式も他の宗派とは異なる点がいくつかあります。
神道における末期の水
神道では、末期の水に相当する明確な儀式は存在しません。神道は「死を穢れ(けがれ)」と捉えるため、死に際しての儀式は仏教ほど体系化されていません。
しかし、故人の口元を水で湿らせる行為自体は、古くからの習俗として行われることがあります。これは、喉の渇きを癒すというよりは、故人を清める「水」の力に由来する、清めの意味合いが強いと考えられます。神道では、故人は家の守り神となるという考え方があるため、清らかな状態で神の元へ送るという意味合いで、水を用いることがあります。ただし、これは特定の作法として定められているわけではなく、地域や家庭の慣習による部分が大きいといえるでしょう。
キリスト教における末期の水
キリスト教においても、末期の水という特定の儀式は存在しません。キリスト教の教えでは、魂は肉体を離れて神のもとへ帰ると考えられており、肉体的な渇きを癒すという概念は重視されません。
代わりに、カトリック教会では、臨終の際に「終油の秘跡(しゅうゆのひせき)」という儀式が行われることがあります。これは、病者や高齢者が神の恵みを受け、罪の赦しと慰めを得るための秘跡です。また、プロテスタント教会では、牧師による祈りや聖書の朗読が行われ、故人の魂が安らかに神のもとへ導かれるよう祈りを捧げます。これらの儀式は、末期の水とは目的や意味合いが大きく異なりますが、故人の臨終に際して行われる大切な儀式として位置づけられています。
末期の水を行う上での注意点
末期の水は、故人への最期の敬意を表す大切な儀式です。そのため、いくつかの注意点を理解し、故人や遺族に配慮しながら行うことが重要です。
- 故人の意向や宗教・宗派の確認 故人が生前に末期の水について何らかの意向を示していた場合や、特定の宗教・宗派に属している場合は、それに従うことが最も大切です。不明な場合は、事前に親族や菩提寺などに確認しましょう。
- 無理強いはしない 末期の水は、必ず行わなければならない義務ではありません。故人や遺族が望まない場合は、無理に行う必要はありません。特に、故人の顔色が悪化しているなど、精神的に負担が大きいと感じる場合は、見送る選択肢もあります。
- 衛生面に配慮する 故人の口元に触れる儀式のため、清潔な脱脂綿や割り箸を使用し、感染症などにも配慮しましょう。儀式を行う前には、手を清潔に保つことが基本です。
- 静かで厳粛な雰囲気で行う 末期の水は、故人との最期のお別れの時間です。静かで落ち着いた雰囲気の中で、故人への感謝と敬意を込めて行いましょう。大声での会話や不謹慎な態度は慎むべきです。
- 地域の慣習や風習を確認する 地域によっては、末期の水の作法やしきたりに独特の慣習がある場合があります。不安な場合は、葬儀社や地域の年長者などに相談し、確認しておくと安心です。
- 写真撮影は控える 故人との大切な時間であるため、末期の水を行っている最中の写真撮影は、原則として控えるのがマナーです。故人や遺族のプライバシーを尊重し、静かに見守りましょう。
これらの点に注意し、故人との尊厳あるお別れの時間としましょう。
末期の水から葬儀までの流れ
末期の水が済んだ後、故人を安らかに見送るための様々な手続きが始まります。ここでは、末期の水から葬儀、そして火葬に至るまでの一般的な流れを順を追って解説します。いざという時に慌てず対応できるよう、全体の流れを把握しておきましょう。
まず、医師による死亡確認が行われ、死亡診断書が発行されます。これは、その後の行政手続きや葬儀を行う上で非常に重要な書類です。
次に、故人の身体を清め、身なりを整える「エンゼルケア(湯灌・末期の支度)」が行われます。これは、故人が生前の姿に近い状態で旅立てるよう、尊厳を保つための大切な処置です。病院で亡くなった場合は病院の看護師が、自宅で亡くなった場合は葬儀社のスタッフが行うことが一般的です。
エンゼルケアが終わると、故人は病院や自宅から葬儀社の安置施設、または自宅の安置場所へと搬送されます。この際、葬儀社との間で葬儀の打ち合わせが本格的に始まります。故人の遺志や家族の希望を伝え、葬儀の規模、形式、日程などを決定していきます。
その後、通夜、葬儀・告別式が執り行われ、故人との最後のお別れをします。通夜は近親者が集まり故人を偲ぶ時間、葬儀・告別式は故人の冥福を祈り、社会的なお別れをする儀式です。
葬儀・告別式の後、故人は火葬場へと運ばれ、火葬されます。火葬後には、遺族が遺骨を骨壷に納める「骨上げ(収骨)」が行われます。
この一連の流れは、故人への感謝と敬意を表し、遺族が故人の死を受け入れ、新たな一歩を踏み出すための大切な時間となります。葬儀社はこれらの手続きをサポートしてくれる専門家ですので、不明な点があれば遠慮なく相談しましょう。
よくある質問(Q&A)
末期の水に関して、多くの方が抱える疑問や不安にお答えします。ここでは、特に質問が多い点をQ&A形式で解説し、皆さまの疑問解消の一助となれば幸いです。
Q1:末期の水は必ず行わなければならないのでしょうか?
末期の水は、故人への最後の愛情表現であり、遺族の気持ちを整理するための大切な儀式です。しかし、法律で定められた義務ではありません。故人やご遺族の意向、宗教・宗派の考え方によっては行わない選択をすることも可能です。
- 故人の意思: 生前に「不要」という意思表示があった場合は尊重しましょう。
- 宗教・宗派: 浄土真宗のように、末期の水を行わない宗派もあります。
- 状況: 病院の状況や時間の制約などにより、実施が難しい場合もあります。
大切なのは、形式にとらわれすぎず、故人への感謝や哀悼の気持ちを込めて見送ることです。
Q2:末期の水を省略しても良いケースはありますか?
はい、前述の通り、末期の水は必ずしも行わなければならないものではありません。以下のようなケースでは、省略しても問題ないとされています。
- 故人の信仰する宗教・宗派で末期の水を行わない場合: 特に浄土真宗では、死後すぐに成仏するという教えから、末期の水は行いません。
- 医療機関の事情: 病院や施設によっては、感染症対策や時間の制約から、末期の水が許可されない場合があります。その際は、無理強いせず、医療従事者の指示に従いましょう。
- 遺族の意向: 遺族が精神的な負担から末期の水を行うことが難しいと感じる場合や、故人が生前に「不要」と伝えていた場合は、省略しても構いません。
無理に形式にこだわるよりも、故人を偲ぶ気持ちが大切です。
Q3:病院以外で末期の水を行う場合、何か違いはありますか?
自宅や介護施設などで末期の水を行う場合でも、基本的な手順や作法に大きな違いはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 道具の準備: 病院のように準備されたものがないため、ご自身で脱脂綿や割り箸、水などを準備する必要があります。清潔なものを使用しましょう。
- 環境の整備: 故人が安らかに眠れるよう、静かで落ち着いた環境を整えることが望ましいです。
- 体勢の調整: 故人の体勢が不安定な場合は、枕などで支え、無理のない姿勢で行いましょう。
- 看取りの専門家への相談: 自宅での看取りの場合、訪問看護師やケアマネージャーなどが立ち会うこともあります。不明な点があれば、遠慮なく相談し、指示を仰ぎましょう。
Q4:子供が末期の水を行う際の注意点はありますか?
お子様が末期の水を行うことは、故人との最後のお別れとして、大切な経験となり得ます。しかし、年齢や精神状態を考慮し、細やかな配慮が必要です。
- 説明の仕方: 「もう話せないけれど、おじいちゃん(おばあちゃん)の喉を潤してあげるんだよ」など、お子様にも理解できる言葉で、儀式の意味を優しく説明しましょう。死に対する恐怖心を煽らないように配慮が大切です。
- 強制しない: お子様が嫌がる場合は、無理強いは絶対にしないでください。見ているだけでも十分お別れになります。
- 安全への配慮: 割り箸や脱脂綿の扱い方、水の量など、安全に配慮しながら保護者が付き添って行いましょう。
- 心のケア: 儀式の後も、お子様の様子を見守り、不安や悲しみを抱えているようであれば、じっくりと話を聞いてあげてください。
お子様にとって、故人との穏やかなお別れの機会となるよう、周囲の大人がサポートすることが重要です。
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