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2025年12月1日
袱紗とは?選び方、使い方、慶弔でのマナーをわかりやすく解説

結婚式や葬儀に参列する際、袱紗(ふくさ)の準備はできていますか?「持ってはいるけど、使い方がよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、袱紗の基本から、慶事・弔事での使い分け、香典やご祝儀の包み方まで、分かりやすく解説します。この記事を読めば、もう袱紗で迷うことはありません。
2. 袱紗の種類:素材、形状、デザイン
袱紗は、その素材や形状、デザインによって多様な種類があります。これらを理解することで、ご自身の用途や好みに合った最適な袱紗を選ぶことができるでしょう。
袱紗の素材としては、主に正絹(しょうけん)と化繊(かせん)の2種類が挙げられます。正絹は、独特の光沢と滑らかな手触りが特徴で、格式高い印象を与えます。一方、化繊は、ポリエステルなどの化学繊維で作られており、正絹に比べて手頃な価格で、シワになりにくくお手入れがしやすいという利点があります。
形状に関しては、大きく分けて「台付き袱紗」「金封袱紗」「風呂敷型袱紗」の3つがあります。
- 台付き袱紗:祝儀袋や香典袋を乗せる台が付属しているタイプです。台があることで、袋が安定し、より丁寧な印象を与えます。慶事用と弔事用で台の色が異なる場合があります。
- 金封袱紗(きんぷうふくさ):袋状になっており、祝儀袋や香典袋をそのまま差し込んで使用するタイプです。コンパクトで持ち運びやすく、スマートに使えるため、近年人気が高まっています。
- 風呂敷型袱紗:一枚の布状になっており、風呂敷のように包んで使用します。どのようなサイズの祝儀袋や香典袋にも対応できる汎用性の高さが魅力です。
デザインについては、無地のものが最も一般的ですが、刺繍や織り柄が施されたものもあります。慶事用には華やかな色合いや吉祥文様、弔事用には落ち着いた色合いの無地が選ばれることが多いです。
これらの素材、形状、デザインの組み合わせによって、袱紗は様々なバリエーションを持ちます。ご自身の状況やマナーに合わせて、最適なものを選びましょう。
慶事用と弔事用の袱紗:色とデザインの選び方
袱紗は、慶事と弔事とで使い分けるのが基本的なマナーです。ご祝儀や香典を包むだけでなく、相手への敬意を示すための大切なアイテムであるため、場面に合わせた色やデザインを選ぶことが重要になります。ここでは、慶事と弔事それぞれの袱紗の選び方について解説します。
| 場面 | 色 | デザイン | その他注意点 |
|---|---|---|---|
| 慶事用 | 赤、えんじ、金、紫、ピンク、オレンジなど暖色系、または明るい色合い | 鶴亀、松竹梅、鳳凰、吉祥文様など華やかな柄、無地も可 | 袱紗の色は、ご祝儀袋の色と合わせる必要はありません。 |
| 弔事用 | 紺、緑、グレー、藍色など寒色系、または落ち着いた色合い。最も一般的なのは黒。 | 蓮の花、菊など落ち着いた柄、無地が最も無難 | 光沢のある素材や華美な装飾は避ける。 |
| どちらでも使える色 | 紫 | 無地 | 紫は慶弔両用で使える便利な色です。 |
慶事用の袱紗の選び方
結婚式や出産祝いなどのお祝い事には、華やかで明るい印象の袱紗を選びます。具体的には、以下のような色やデザインが適しています。
- 色: 赤、えんじ、金、紫、ピンク、オレンジなど、暖色系や明るい色合いが一般的です。おめでたい雰囲気に合う鮮やかな色を選びましょう。
- デザイン: 鶴亀、松竹梅、鳳凰などの吉祥文様や、縁起の良い柄が入ったものが好まれます。もちろん、無地のものを選んでも問題ありません。
弔事用の袱紗の選び方
葬儀やお悔やみの席には、厳粛な場にふさわしい落ち着いた色の袱紗を選びます。
- 色: 黒が最も一般的で無難です。その他、紺、緑、グレー、藍色などの寒色系や、落ち着いた色合いを選びましょう。
- デザイン: 蓮の花や菊といった控えめな柄が入ったものもありますが、基本的には無地のものが最も適しています。光沢のある素材や華美な装飾は避け、シンプルで落ち着いたものを選びましょう。
慶弔両用で使える袱紗
「慶事用と弔事用をそれぞれ用意するのは大変」という方には、慶弔両用で使える紫色の袱紗がおすすめです。紫色は古くから高貴な色とされており、慶弔どちらの場面でも失礼にあたらないとされています。一つ持っておくと非常に便利です。ただし、弔事の際は柄のない無地のものを選ぶとより丁寧な印象になります。
4. 香典・ご祝儀の包み方:基本のマナーと手順
香典やご祝儀を袱紗で包むことは、相手への敬意を示す大切なマナーです。ここでは、慶事と弔事それぞれにおける基本的な包み方と手順を解説します。
慶事(ご祝儀)の包み方
慶事では、ご祝儀袋を左開きになるように包みます。これは「喜びを包み込む」という意味合いが込められています。
- 袱紗を広げる: 袱紗をひし形に広げ、中央よりやや左寄りにご祝儀袋を置きます。水引が崩れないよう丁寧に扱いましょう。
- 右から折る: 袱紗の右端をご祝儀袋にかぶせるように折ります。
- 下から折る: 袱紗の下端をご祝儀袋にかぶせるように折ります。
- 上から折る: 袱紗の上端をご祝儀袋にかぶせるように折ります。
- 左から折る: 袱紗の左端をご祝儀袋にかぶせるように折り、余った部分を裏側に回して留めるか、上から被せて固定します。
このとき、ご祝儀袋が袱紗の中央にきちんと収まるように調整し、水引が正面を向くようにしましょう。
弔事(香典)の包み方
弔事では、香典袋を右開きになるように包みます。これは「悲しみを覆い隠す」という意味合いが込められています。
- 袱紗を広げる: 袱紗をひし形に広げ、中央よりやや右寄りに香典袋を置きます。
- 左から折る: 袱紗の左端を香典袋にかぶせるように折ります。
- 下から折る: 袱紗の下端を香典袋にかぶせるように折ります。
- 上から折る: 袱紗の上端を香典袋にかぶせるように折ります。
- 右から折る: 袱紗の右端を香典袋にかぶせるように折り、余った部分を裏側に回して留めるか、上から被せて固定します。
弔事の場合も、香典袋が袱紗の中央に収まり、表書きが正面を向くように整えましょう。
いずれの場合も、袱紗の留め具や包み方が崩れないよう、丁寧に扱うことが大切です。特に、受付で袱紗から取り出す際も、慌てずに落ち着いて行いましょう。
袱紗の使い方:場面別のマナー
袱紗はただ金品を包むだけでなく、その持ち運び方や渡し方にもマナーが存在します。スマートに振る舞うためにも、具体的な場面を想定した使い方を身につけておきましょう。
袱紗の持ち運び方
袱紗は、金品を汚れや水引の崩れから守る役割があるため、普段から大切に扱うことが重要です。持ち運ぶ際は、鞄の中に直接入れず、できれば袱紗専用の小さな袋に入れるか、他の物と擦れないように配慮しましょう。また、袱紗はシワになりやすいため、折りたたむ際は丁寧に扱い、鞄の中で圧迫されないように注意が必要です。必要な時にすぐに取り出せるよう、鞄の内ポケットなど定位置を決めておくのがおすすめです。
袱紗の渡し方
受付などで香典やご祝儀を渡す際は、以下の手順で丁寧に行いましょう。
- 受付前で袱紗を取り出す: 受付に到着する少し前に、鞄から袱紗を取り出して手に持ちます。
- 袱紗を開く: 受付の方に一礼し、袱紗を相手から見て正面になるように広げます。
- 金品を取り出す: 袱紗から香典袋やご祝儀袋を取り出し、袱紗の上に置きます。この際、金品の向きは相手がすぐに読めるように整えます。
- 袱紗を畳む: 金品を取り出した後の袱紗は、軽く二つ折りか四つ折りにし、受付台の端に置くか、手に持ったままにします。
- 金品を渡す: 相手の目を見て「この度は誠にご愁傷様でございます」「この度は誠におめでとうございます」など、状況に応じたお悔やみやお祝いの言葉を述べながら、両手で金品を差し出します。
これらの手順を踏むことで、相手への敬意が伝わり、より丁寧な印象を与えることができます。
袱紗を選ぶ際のポイント:年齢、立場、贈る相手に合わせて
袱紗を選ぶ際には、年齢や立場、贈る相手との関係性などを考慮することが大切です。ここでは、それぞれの状況に応じた袱紗選びのポイントをご紹介します。
1. 年齢・立場に応じた選び方
袱紗は、自身の年齢や社会的な立場に合ったものを選ぶことで、より洗練された印象を与えられます。
- 20代~30代前半(若年層):
- 慶事: 明るい色合い(ピンク、若草色、水色など)や、シンプルな柄のものがおすすめです。ラメや刺繍が控えめに入ったものも良いでしょう。
- 弔事: 紫や紺などの落ち着いた色合いを選び、シンプルな無地のものが基本です。
- 30代後半~40代(中堅層):
- 慶事: 落ち着いた色味のピンクやグリーン、または金封の色と調和する上品な色合い(エンジ、グレーなど)も選択肢に入ります。素材は絹やちりめんなど、上質なものを選ぶと良いでしょう。
- 弔事: 紫は慶弔両用で使える万能色ですが、よりフォーマル感を出すなら、深緑やグレー、紺なども適しています。
- 50代以上(年長層):
- 慶事: 落ち着いた色合いの、上質な素材(正絹など)のものが最適です。柄も控えめで品格のあるものを選びましょう。
- 弔事: 紫、深緑、グレー、紺などの落ち着いた色合いで、素材は正絹やちりめんなどの高級感のあるものが良いでしょう。
2. 贈る相手との関係性で選ぶ
袱紗は、ご祝儀や香典を包む際に使用するため、贈る相手との関係性によっても適切な選び方が変わります。
- 親族・親しい友人:
- 比較的自由度が高く、相手の好みを考慮した色やデザインを選んでも良いでしょう。ただし、慶弔の区別はしっかり守りましょう。
- 会社の上司・取引先など:
- フォーマルな場では、より格式高い印象を与える袱紗が適しています。慶事では、金封の色に合わせた上品な色合い(金、銀、白など)や、格式高い柄(鶴、亀など)のものを選びましょう。弔事では、紫や深緑など、落ち着いた色で無地のものが無難です。
- 目上の方への贈り物として:
- 相手の年齢や立場を考慮し、上質な素材(正絹など)で、落ち着いた色合いや控えめな柄のものを選ぶと良いでしょう。慶弔両用で使える紫の袱紗は、贈り物としても喜ばれます。
3. 素材・形状・デザインのポイント
袱紗を選ぶ際は、素材や形状、デザインも重要な要素です。
- 素材:
- 絹(正絹): 最も格式が高く、冠婚葬祭全般に適しています。光沢があり、手触りも滑らかです。
- ちりめん: 絹に次ぐ格式で、上品な風合いが特徴です。慶弔両用で使いやすい素材です。
- ポリエステル: 比較的安価で手入れがしやすく、日常使いや、初めての袱紗としても選びやすい素材です。
- 形状:
- 風呂敷型: 一枚の布で包む伝統的なタイプ。包み方を覚える必要がありますが、金額や品物の大きさに合わせて調整できます。
- 台付き袱紗: 金封を置く台が付いているタイプ。包みやすく、型崩れしにくいのが特徴です。
- 金封袱紗(ポケット型): 金封を差し込むだけで使える便利なタイプ。最も手軽ですが、略式とされることもあります。
- デザイン:
- 無地: 最もフォーマルで、慶弔問わず使えます。
- 柄物: 慶事では鶴や亀、松竹梅などの吉祥柄、弔事では蓮や菊などの落ち着いた柄が使われます。ただし、派手すぎる柄は避けましょう。
これらのポイントを踏まえることで、どんな場面でも自信を持って袱紗を使用できるようになります。
おすすめの袱紗紹介:価格帯別、人気商品
ここまで袱紗の選び方やマナーについて解説してきましたが、実際に購入するとなると、どんなものを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、価格帯別におすすめの袱紗と、それぞれの特徴をご紹介します。ご自身の予算や使用シーンに合わせて、最適な袱紗を見つける参考にしてください。
1. 2,000円台~5,000円台:日常使いしやすいカジュアルな袱紗
この価格帯の袱紗は、初めて購入する方や、頻繁に冠婚葬祭に参列するわけではない方に特におすすめです。
- 特徴:
- 素材: ポリエステルやレーヨンなどの化学繊維が主流で、シワになりにくく手入れがしやすいのが魅力です。
- デザイン: シンプルな無地が多く、慶弔どちらにも使える兼用タイプも豊富です。色も落ち着いたものが多く、幅広い年代で使いやすいでしょう。
- 機能性: 金封を挟むだけの「台付き袱紗」や、開閉が簡単な「金封袱紗」が多く見られます。コンパクトで持ち運びにも便利です。
- 選び方のポイント:
- 慶弔両方で使いたい場合は、紫色の金封袱紗を選ぶと便利です。
- 急な弔事に備えて、一つ持っておくと安心です。
2. 5,000円台~10,000円台:上質な素材とデザインの袱紗
少し予算を上げて、より上質で品格のある袱紗を選びたい方におすすめの価格帯です。
- 特徴:
- 素材: 絹や縮緬(ちりめん)などの天然素材を用いたものが増え、手触りが良く、見た目にも高級感があります。
- デザイン: 伝統的な柄や、織りによる美しい模様が施されたものも登場します。色も慶事用の華やかなものや、弔事用の深みのある黒など、用途に特化したものが選べます。
- 機能性: 金封袱紗だけでなく、風呂敷のように包む「爪付き袱紗」も選択肢に入り、より丁寧な印象を与えられます。
- 選び方のポイント:
- 特別な慶事や弔事に参列する機会が多い方、または長く愛用したい方におすすめです。
- 贈答用としても喜ばれる品質のものが多くなります。
3. 10,000円台~:格式高い場面にふさわしい本格的な袱紗
結婚式の主賓として招かれたり、重要な式典に参列したりするなど、格式を重んじる場面で活躍する本格的な袱紗です。
- 特徴:
- 素材: 正絹など最高級の天然素材が使われ、職人の手仕事による丁寧な仕立てが特徴です。
- デザイン: 伝統工芸品としての価値も高く、手刺繍や染め物など、美術品のような美しさを持つものもあります。家紋を入れるオーダーメイドも可能です。
- 機能性: 伝統的な「風呂敷型袱紗」や「台付き袱紗」が多く、包む動作そのものがマナーとして重視されます。
- 選び方のポイント:
- 自身の立場や年齢にふさわしい、一生ものの袱紗を探している方におすすめです。
- 代々受け継いでいくこともできる、価値ある一品となります。
これらの情報を参考に、ご自身にぴったりの袱紗を見つけて、冠婚葬祭の場に自信を持って臨んでください。
まとめ:袱紗を正しく使って、自信を持って。
ここまで、袱紗の基本的な知識から、慶事・弔事での使い分け、正しい包み方や渡し方、選び方のポイントまで詳しく解説してきました。袱紗は単なる布切れではなく、相手への敬意と心遣いを形にするための大切な道具です。
冠婚葬祭の場において、袱紗を正しく使うことは、TPOをわきまえた大人としてのマナーを示すことにつながります。最初は難しく感じるかもしれませんが、一度身につけてしまえば、どのような場面でも自信を持って振る舞うことができるでしょう。この記事で得た知識を活かし、ぜひ実践してみてください。
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